〜新型インフルエンザ情報〜
尼崎のオトン会員(開業医)へぼ医者さんより
1)濃厚接触者の出社停止問題
家族に新型インフルエンザ患者が出た場合、家族は濃厚接触者となります。それを会社に言った場合、症状が全く無いにも関わらず「出社停止」の命令を受けたという相談が頻回にあります。また、「新型インフルエンザではないという証明書」を持参しないと出社が許可されない、という相談もあります。濃厚接触者でも無症状であれば、出社しても良いという通達が出ているにも関わらず、です。
このような無用な外来説明や診断書発行が不要となるよう、政府は、煽るような死亡者公表より正しい国民啓発を優先して行う必要があります。
2)予防投与問題
濃厚接触者が希望すれば、医療機関でタミフルの予防投薬を受けることが出来ます。
しかし健康保険が効かないため経済的にあきらめる方も多いようです。
予防投与を行いやすくするよう何らかの経済援助をするか、備蓄タミフルを一定のルール下に放出してはいかがでしょうか。
また企業防衛のため、社員用にタミフルの備蓄をしたいと希望した場合でも、現行法下ではタミフルの購入はできません。ここは特例を設けてある限度を設けて、企業責任でのタミフル備蓄という規制緩和はできないでしょうか。
3)産業医と企業の連携強化を
集団発生を防ぐため、いまこそ産業医と企業の連携強化が求められると思います。企業内でもITツールなどを活用したアップツウーデイトなインフルエンザ情報の共有化は必須でしょう。一方、発熱しても人出不足から無理をして出社する人もいます。発熱者が休むことは仕方がない、新型インフルエンザは恥ずかしいことではない、という啓発も進めるべきです。
4)不特定多数と接するサービス業などの従事者への対策
不特定多数と接する業種、たとえばホステスなどは、発熱していても厳しいノルマからか発熱を隠して出勤する人もいて、感染拡大の一翼を担う可能性があります。
発熱者や咳など有症状者は出勤させないことが、公衆衛生上も企業経営上も有益であることを啓発する必要があります。産業医の選任義務がない従業員50人以下の企業においても、労働基準監督署の勧告のもと、地域産業保健センターの協力を得て的確なインフルエンザ対策を講じる体制を構築すべきです。
5)産業保健、学校保健、開業医が三位一体となったインフルエンザ対策を
発熱外来に至るまでの予防措置が、申すまでもなく感染の蔓延防止ないし遅延には重要です。そのためには、開業医や医師会のみならず、学校保健、産業保健という横の連携が今こそ求められると思います。3位一体のインフルエンザ対策を構築すべきです。
最後に、喫煙者はインフルエンザリスクが高いことが証明されています。禁煙政策と強くリンクしたインフルエンザ対策を強く期待します。
簡単に発熱外来と言うけれど・・・
ー理想と現実の狭間で、今すべきこととはー
5月の兵庫・大阪の新型インフルエンザ騒動の時、当クリニックでは入口横にテントを張り、「風邪外来」と称して、風邪症状の患者さんをすべて屋外で診ました。8月以降の第2波を迎え、手挙げをした開業医において「時間的ないし空間的に動線を分離して」インフルエンザ診療を行うことになっていますが、多くの問題点を孕んでいます。
1)発熱や臨床症状で見分けるのは現実には困難
38度以上の発熱患者さんを発熱外来で診るそうですが、実際に36度台の新型インフルエンザ患者さんもいましたし、臨床症状で風邪とインフルエンザを見分けるのは実際には意外と困難です。
どこの診療所でもチェック網を突破して、一般患者さんにまぎれて診察室に入ってしまう患者さんがいるのではないでしょうか。当然病期によって体温は変化するので、ある一点の体温だけでトリアージすることには限界があります。
その観点から当院では「風邪症状を有する患者さん全員」を別室で医師が問診し、医師が許可したもののみを一般診察室に入れる試みをしています。
2)簡易検査の功罪
簡易検査陰性でもPCR陽性の患者さんが少なからずおられ、簡易検査無用論まで飛び出しています。かといって、疑わしきもの全例をPCR検査というわけにもいきません。また、A医院で簡易検査陰性であった人が、翌日のB医院で陽性であることはよくあることで、無用な医療不信や混乱を引き起こす可能性があります。簡易検査陽性となるまでのタイムラグや48時間以上経過したら臨床的意義が低くなることなど簡易検査の意義と限界を政府は国民に分かり易く啓発する必要があります。
3)動線の分離とは絵にかいた餅?
多くの医院では「時間的分離」を選択し、昼休みに予約制で診察しています。しかし同線の分離は現実には難しいと思います。また分離を知らない患者さんが通常診療時間内に紛れ込むことは充分、考えられます。また患者さんを2m以上離すのも現実には困難だと思います。ビル診などでは入口の分離自体も難しく、いかにもお役所的だと思います。さらに、医療機関内での動線分離ができても、院外薬局での動線分離も同時に行わないとまさに片手落ちです。当院では、薬局の待ち合いも屋外として、「発熱薬局」を提唱してきました。
4)在宅医療や公益活動への多大な支障
国は、強力な在宅医療への誘導政策を行ってきました。全国1万件にもおよぶ在宅療養支援診療所の多くは、昼休みに往診や訪問診療を行うミックス型診療所です。また届けを出さずに昼休みを往診・在宅医療に当てている診療所も多くあります。そもそも昼休みとは、医師会の会議や公務、勉強会、学校医や産業医出務など極めて活発な活動が行われる時間帯でもあります。うまく昼の時間をやりくりしながら頑張っている医師がほとんどです。その時間帯に手間がかかるインフルエンザ診療をするとなると、在宅医療のみならず多くの医師会を中心とした公益活動に多大な支障が出ることは必至です。このような現実を全く想定していない、乱暴な丸投げ政策だと思います。
5)一刻も早い第一戦現場への感染症対策費の投入を
新型インフルエンザ対策を国策と位置づけるなら、マスク、消毒薬、防具などの消耗品を一刻も早く公費で協力医療機関に投入するべきです。感染症対策には当然コストがかかりますが、診療報酬上の配慮はなく各医療機関が自前で行っています。過酷な医療費削減政策が続く中、地道に地域貢献している医療機関は今こそ国を挙げて支援すべきです。医療従事者は身を呈して診療しています。私たちは常に濃厚接触者であり、家に帰れば当たり前ですが家族もいます。しかし病気になっても何の保証もありません。にもかかわらず高い職業意識を持って現場で奮闘している医療従事者に、国として相応の予算を早急に投下すべきです。時期を失うと開業医の士気を失う結果になることを危惧します。
10月以降は、以上に加えて「季節性インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」の予防接種という業務も加わり、混乱が予想されます。早急に上記の問題点に対する国の具体行動を期待します。
この秋に大混乱が予想されている医療現場。大切なのは、現場の士気だと思います。
現場に判断を丸投げせずに、どれだけトップダウンで細やかなケアができるかにかかっているのだと感じられます。
現場がパニックにならないように、いかにり患数を減らすか、
効率的なワクチンの接種、予防、早期発見の徹底、集団感染した際の封じ込め、いろんな措置が必要となりますが、同時に経済活動に不当な負荷がかからないように、バランスを取らなくてはなりません。
不特定多数の人を相手に接客をする職業はたくさんあります。
症状が出て怪しいと思ったらすみやかに受診するべきだとは思います。
発熱もあまりない感染者もいることも、広く知らしめるべきだと感じました。
現場に対策費が投入されていないという事実にも衝撃を覚えました。
医療従事者のマスクや防具や消毒薬などは、とても大切なコストだと思います。このコストは、今、現実に向き合っている危機に対するコストであるのだから、ダムなどのハコモノに投入するよりもよほど切実なものだと感じます。
★医療現場よりPart U
新型インフルエンザについてもやはり大混乱ということで現場の医療者も困っているわけですが、
一般市民の方はさぞ大変に不安に感じていらっしゃることだろうと思います。
だれも未経験なのでクリアカットなお話はなかなかしにくいのですが、
新型インフルエンザにまつわる医療の日常などをすこしご紹介します。
まず実際に新型インフルエンザの患者さんを診察した印象をいうと、
「子供はかかりやすいけど、その親にまでうつることは以外に少ないなぁ」ということです。
一緒に生活しているのだから感染してもおかしくないし、実際そうなっている人も多いとは思いますが、でも子供が感染していると親も100%ということはなく実際は半分以下ではないかなと今は感じています。
ニュースでも、よく言われるのが、水平感染、たとえば同じクラスとか同じ部活とか、同世代の集団感染はあるけれど、垂直感染、家族内で違う世代に感染することなどは少ないと伝えられていますよね。
これも、この新型インフルエンザの大きな特徴かもしれませんね。
学級閉鎖などについては都道府県単位で対応します。
これまで多くの都道府県で、
ほぼ一律に同一学級で児童、生徒らに2人以上の感染者(疑いを含む)が確認され、
急激な感染拡大などが予想される場合とされていました。
しかし最近京都市などはそれを緩和するようです。
■京都市 新型インフルで学級閉鎖の基準見直し
これは実際に新型インフルエンザにかかった人に対しての方針であり、家族がかかったかもしれないが、自身はかかっていない場合には適応されません。
ただ、職場によってはかかっていないことを証明してこいと言われる場合もあるらしく、症状がないにも関わらずインフルエンザの簡易キットの検査を希望して来院されその結果のコピーを差し上げた時もあります。
非正規雇用の増加が背景にあり、このコピーがないと自宅待機を7から10日言われ、業務命令による待機なのにその間給料が支払われないということがまかり通っているために大変生活が困窮する場合があるようです。
診断書をかくと別途料金を請求されるためできるだけコピーですませるようにしています。
やはりひずみは非正規雇用という、とても脆弱な雇用形態の人に襲いかかっていることがわかります。
細やかなケアが政治の側に必要とされますね。
このように職場も医療現場も手探りの状況の中で対応しているわけですが、これは行政からの対応がなかなか進展しないことによります。
この点について行政サイドへのインタビュー記事がありましたのでご紹介します。
医師である医系技官の方が切れ味のある発言をしている秀逸なインタビューです。
しばらくすると新政権が発足するわけですが、是非この機会をきっかけに前にすすんでもらえればと思います。
うっきーさん、貴重な情報をありがとうございました。
特に、最後にご紹介していただいた医系技官の方のインタビュー記事は秀逸です。
是非、ご一読をお勧めします。
★新型インフルエンザ感染者の声
フルタイムおかんさんより
「発症!新型インフル」
夏の恒例行事・高校野球が終わり打ち上げから帰宅した月曜夜中
娘38度。
機嫌もいいが、熱は下がらず翌日の夕方かかりつけの耳鼻科へ。近所に小児科がないのと先生には薬の知識があり近所では人気。
そんな先生がちょちょっと検査
「インフルエンザA型やね」
といわれた途端、母子ともにマスクを配られる。
・・・
ここで色々考える。
娘は12月にAソ連型になっている
「先生、新型ですか?」
「今ね、A型と診断されたらほとんどが新型だと思っていいよ。詳しくは遺伝子レベルで検査しなくっちゃ分からないけど、その検査自体があまり意味ないよ。飲む薬も一緒だし、よっぽど何か持病があるなら別だけど」
とおっしゃるではないか。
とぼとぼタミフルを処方され帰る母子。
えらいこっちゃなのか??
私を介して第3者に移ることもあるのではないか?
そして関係各位に電話してみる。
〜保育園(大阪市・私立の認可保育園)〜
うちの娘1人ならいいのだけれど、あと1人でもインフルエンザと診断されれば、遺伝子検査をして下さいとのこと。保健所に報告義務があるらしい。
(面倒!!熱持ちの娘を抱えて再び病院へ行くなんて!!)
〜私の職場〜
マスコミ関係だけに
「とにかく完治するまで来るな〜!!」
とても慎重姿勢。
〜旦那の職場〜
特に何も対応なし・・・
〜テレビからは〜
集団感染があちこちであると言われながらも、1人がかかっても大きな報道することも。
線引きの判断がどっちつかずになっている。
結局、娘も私も1歩も家から出ずにすべてネットの宅配で過ごす。やはり人にうつすのが一番よくないのではないか・・・
<そんな娘さんの経過>
1日目〜3日目 熱38度〜39度
1ヶ月前に熱性けいれんを起こしたためけいれん止めの薬とタミフルを服用。
機嫌よし、ご飯も食べられる
4日目熱が下がる
と同時に超不機嫌に!!
3〜4時間おきぐらいに何か小さなことが原因で「ぎゃーー」と叫びながら泣く。
(こんな泣き方は新生児以来)
寝るときは常に体を「トントンして」と言う。
「パパはいや!ママ」を連呼。
ご飯を食べる量が減っている。
熱がないだけにどうしたものかと思うがネットを叩いても特に出てこず。
悩みながら3日経過。
インフルエンザ発症7日目。
突然、上機嫌に。
よくしゃべり、よく食べ病気前の状態に戻る。
新型の怖さ?タミフルの副作用?
(ただ去年、タミフルを飲んだときは こうならなかった)
そんなこんなであすで謹慎?期間終了。
かかりつけ医いはく、
通常、インフルエンザは熱が下がって2日後には園許可書が出るらしいが、新型の場合は7日間は自宅待機したほうがいいというのが最新出た規定らしい。
そしてそれらは保育園には通達されていなかった・・・
今回思ったのは、新型に関しては、秋の情報のままマスコミもお役所も対応しているということ。
そこに医者の意見は??
マスコミも「新型にかからないために」の報道はそのくらいにして、「新型にかかった人は」というものにシフトチェンジしていった方がいいのではないかと痛感した。
そしてあさってからは職場復帰。
新型にかかった人が避けられる「新型差別」がどのくらいあるのか自ら体験してきます!!
★医療現場より
京都在住のオトン会員(開業医)ウッキーさんより
たまたま昨日17歳女子のインフルエンザA型を診断しました。
通学している高校ではスケットボール部に所属しているらしいんですが、その学校でもインフルエンザが流行っているとのことでここ3日間休校となったようです。新型かどうかについて保健所は全例検査ではなくサンプル調査的にPCR検査を行っていて、結果待ちの状態とのことでした。
その患者さんは日蝕ツアー参加者で、日蝕ツアーでもインフルエンザが流行っていたとのことでした。天候不順であったため特に感染しやすい条件が整ってしまったようです。日本全国からツアーに参加して、そこで感染しあって日本全国に帰っていっているという状況です。各地でのそれ以外の感染も拡大の一途で、いよいよ日本でもインフルエンザが一斉に蔓延していくフェーズに入ったようです。是非、お気をつけ下さい。
そしてウッキーさんの言うとおり、八月に入り一斉に蔓延していくフェーズに入りました。
慢性疾患を抱えた人を中心に重症化していき、死亡者もでるような事態になりました。
また、ウッキーさんは海外のいろんな情報をご案内下さいました。
イギリスでは妊娠を自粛する呼びかけまで始めたようです。
すこし行政がパニックを起こしているようにも思いますが。
■旅するな、人ごみ行くな、妊娠するな!(英政府のアドバイス)
and even advising women to delay getting pregnant until the virus subsides
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/44c3e5b213eff1871f0d90851a89e683
○ニュージーランド、人口の8割が新型インフル感染の恐れ
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2624221/4389937
最大でニュージーランドの全人口の79%が新型インフルに感染する可能性がある。だが、発症するのは3分の2程度とみられる。→およそ人口の53%
○【新型インフル】英イングランドの感染者、1週間で10万人に
http://sankei.jp.msn.com/life/body/090724/bdy0907240045000-n1.htm
そして、ウッキーさんは医療者として、こんな分析をされています。
それにしても。
インフルエンザによる重症者は、日本人の方が他の民族、人種よりも多く出現しているわけではありません。
実はSIRDS騒動のときも、呼吸器とくに感染症を得意としている友人のドクターと話題になったのですが、日本人はこの手のウイルス感染症に対してかなり強い抵抗力を持っている人が多くいるのではないかという事になりました。
SIRDSの流行地域いた日本人の数をあわせると数十万人以上になるわけですが、一人の感染・発症・死亡者もいませんでした。
この理由をさぐっていくと、日本人の遺伝多様性に行き着くようです。
多くの日本人は単一民族ではなくミクロネシアなどの南方の島嶼部と中国韓国などの大陸系とアイヌのような北方系の遺伝子が混じり合った多様な遺伝子を持っているようです。
その友人のドクターによればこういう混血系で農耕系の民族はウイルス感染に強いみたいなんですね。
予防と早期の治療、特に遅滞なくタミフル、リレンザなどを投与することは大事とは思います。
予防はもちろん大切なのでしょうが、重症化しないように早期の治療が肝要で、さらに現場に今足りないのは、感染した時にどのように対処すればいいのかの情報です。
ここまで明らかに慢性疾患を抱える人が感染すると重症化するというデータが出ているのですから、新型にかかったからすぐに病院へというのは違うのかもしれません。
また、感染外来の特設テントが必要となるのでしょうか。
ワクチン接種の順位も難しい問題です。
また、医療現場の声もお届けしていきます。
★5月から続いている新型インフルエンザ対応について
尼崎のオトン会員(開業医)へぼ医者さんより
現場の開業医として日頃感じていることを2点指摘します。
1)インフル対応は感染症行政の地方分権の試金石か
インフル対応に関して、国、都道府県、市町村からさまざまな通達が出されて
きました。
膨大な情報を前に戸惑うことが多いのですが、
疑問に感じた点は、実際には市町村医師会および地域の保健所に問い合わせて対応してきました。
実際、兵庫・大阪での第1波に対して地元医師会と行政とで迅速かつ密接な連携が図られた事実は、高く評価されるべきだと思います。
ワクチン接種などの大きな指針・責任は国の仕事として、
学校や施設などでの集団発生においては、地域の医師会や行政の判断が優先されることは当然です。
しかし、国、県、市町村という3重構造の行政の指揮命令系統を考えた時、
橋下大阪府知事が唱える地方分権の在り方という言葉をつい連想してしまいます。
舛添厚生労働大臣が新型インフルエンザワクチン接種に保障制度を提唱した意義
は大きく、
国の感染症対策はいかなる政局においてもまさに超党派で行われるべき課題だと感じました。
しかし地域性を考慮すべき局面も多く、
地域の裁量権の在り方が今後の感染症対策の鍵を握ると思います。
すなわち、インフル対応を巡っては
感染症行政における地方分権のあり方自身が問われていると感じます。
2)インフル対応で再認識される医師会の公益性―ピンチを活かす発想をー
医師会は申すまでもなく公益法人であり、市民のために存在します。
そんな当たり前の事実を、インフルエンザ対応は再認識させてくれています。
有名になった発熱外来は、市町村医師会の理事や有志によって運営されてきました。
医療現場への通達は実際には、地域保健所→地域医師会を通じてなされています
。
感染症対策において、地域保健所と地域医師会の連携ほど重要なものはありません。
大部分の病院管理者は医師会に加入していますが、開業医は全員加入とは限りません。
特に最近では都心部での医師会入会率は低下しています。
従って、行政・保健所からの指示が、医師会非入会の開業医に十分に伝達されない可能性が懸念されます。
地域での医療連携は、事実上、市町村医師会を通じてしか行いえないという事実を改めて指摘したいと思います。
いまこそ日本医師会は、行政と一体となって新型感染症に対応している事実をも
う少し啓発してもいいのではないでしょうか。
何かと非難されることが多い医師会の名誉挽回のチャンスではないでしょうか。
また、この際、非入会の開業医にも公益性の見地から行政・保健所からの情報を積極的に流し、
さらには医師会に入会してもらえるような方策、たとえば入会金の減額、などを本気で検討して頂きたいと考えます。